夜間診療のもどかしさ

 先日「転んで足を痛めて立てない」との主訴の犬をたまたま深夜に診ることになったが、起座呼吸、チアノーゼ、肺野にクラックル、腱索は切れてないもののLA/AO:>3、くっきりBライン、TRも悪化しRA拡張に腹水、X線DVで心胸郭比>0.9に右後葉の肺胞パターン。何とか3剤併用で凌いで安定していたMR(stage C/chronic)のチワワのピモペンダンを半減して、利尿薬と血管拡張薬が同時に変更して10日程たっていたとのこと。そりゃこうなるだろうと思ったが、処方を変更した主治医とは連絡がつかないらしい。

 「心臓をしっかり検査した後に良い薬に変更された」と思っている飼主さんに、ちょこっとエコー当てて、歪んだ姿勢のX線画像1枚見せて、「重度の心不全で救命するためには治療入院が必要だが、朝までの入院中に半分の割合で救命できない」と伝えても、ICを得られる筈もない。他院で治療中の事象なので、深夜に当院のスタッフを招集することもできず、充分な検査や治療もできない。心臓よりも後肢の痛みの方が心配で、痛み止めを注射して欲しいと思っている飼主さんとの間で話が平行線になったが、利尿薬の筋肉内注射だけはさせて頂いた上で福岡県の夜間救急病院を案内ということが妥協点となった。仕方ないと思うが、後味は悪い。

 診療時間外の緊急時における主治医との連絡に関して、今一度それぞれ確認して欲しい。ソルラクトDを皮下点滴されてるケースなども、主治医が対応した方がよい(小生には、細胞外液も内液も皮下に引っ張られるイメージしか沸かない)。

SFTS感染症にご注意!

 宇部市内と山陽小野田市内でSFTSに感染した猫が確認されています。SFTSはマダニから直接感染するだけではなく、SFTSを発症した猫から人が感染発症することがあります。猫は屋内飼育されることをお勧めします。

最終更新日

2024年4月27