消化器外科

1.胃捻転

 緊急手術しなければならない疾患の代表格が犬の胃捻転で、飼主様が気づく主な症状が空嘔吐と腹部の鼓張です。発症後は早急に来院頂き、速攻で診断して、注射打って、減圧して、点滴始めて、手術して、集中した術後管理をしなければ救命できない恐い病気です。右上は、胃捻転のわんちゃんのレントゲン写真です。手術で、胃を整復したあと腹壁に固定します。振り子のようになって一緒に捻転している脾臓も、多くの場合摘出することになります(バベシア感染の既往歴があればなるべく残すようにしてます)。この病気は、手術による外科的処置が必須ですが、並行してしっかり内科管理することも重要だと感じています(手術より神経を使います)。胃捻転を起こしたわんちゃんは、もともと胃の動きに問題があることが多く、退院後は食事管理および/もしくは投薬で調整していきます。

2.消化管内異物摘出(胃切開・腸切開)

 誤飲・誤食した異物を胃から摘出しなければならない場合は、多くは内視鏡で摘出します。しかし、内視鏡では粘膜を傷つける恐れがある異物(右の写真のような突起が多面にある硬質プラスティックなど:小型犬より摘出)は、胃切開を行って摘出します。

 腸に詰まった異物は、内視鏡が役立たないことがほとんどで腸切開により取り出します。左の写真は、猫ちゃん空腸から摘出したウレタンマットの一部で、腹部エコーなどで顕著な閉塞所見が得られたため、開腹

手術となりました。右のレントゲン写真は、缶ジュースの潰れたアルミキャップが十二指腸下行部で停滞し、腸管を穿孔して腹膜炎をおこしていたわんちゃんの症例で、緊急手術で取り出しました。腹腔内洗浄をして閉腹し、抗生剤等で治療しました。来院が1日遅れていたら危ないところでした。

3.腸管切除術

 腸重積などによる腸管壊死、腫瘍などによる腸管閉塞、異物(特に危ないのが細い糸)などによる腸管損傷などが当院で腸管切除して端々吻合を行う主な病態です。写真は、空腸に布状異物が長期間停滞していたわんちゃんの手術の様子です。腸壁が暗赤色に変色して、菲薄化・脆弱化が認められたため、大事をとって腸管切除し端々吻合しました。動物は食べてはいけないものをいろいろと口にしてしまいます。ご注意を!

4.胆嚢切除術

 犬では胆嚢粘液嚢腫(右写真)という病気があり(エコー検査ですぐに分かる病気です)、症状があれば緊急手術で胆嚢を切除します。粘度の高いネバネバ物質で胆嚢が満たされていて、普段はやわらかい胆嚢がカチカチになっています(写真は内容物をだいたい除去した後なので萎びています)。比較的早期に手術した場合は癒着が少なく予後は良いです。また、症状がない場合は、当院では内科療法のみで経過観察することがほとんどです。胆嚢粘液嚢腫は、犬ドックなどでよく認められる胆泥とは状態が異なります。単に胆泥がある場合は、食事の改善を指導するぐらいで、そんなに気にすることはありません。

5.横隔膜ヘルニア

 患者さんのほとんとが交通事故などで腹部を強く圧迫された猫ちゃんで、横隔膜という壁を破って肝臓や腸管などが胸に入って呼吸が苦しくなります。手術は陽圧換気(人工呼吸)を行いながら、お腹側に臓器を戻し横隔膜を修復します。右は術前(上)と術後(下)のレントゲン写真です。上のレントゲンに、左側の黒い胸部に右側から入り込んでいる白い腹部臓器が写っています。

6.会陰ヘルニア

 この病気になる多くは、去勢していない(性ホルモンの影響で壁となる筋が薄くなる)、よく吠える(腹圧がかかる)中高齢の雄犬です。手術では、会陰部(肛門の横)の壁を再建します。ほとんどの症例では、同時に去勢手術も行っています。また、会陰部の筋が脆弱な患者様などは、開腹して結腸腹壁固定を行ったり、精管および/もしくは膀胱腹壁固定が必要になる場合があります。

 「肛門の横がプクッと腫れた」、「便もしくは尿が出にくい」などが主な来院理由です。症状があれば速やかにご相談ください。

7.鼠径ヘルニア・臍ヘルニア

 鼠径ヘルニア(雌犬に多い)や臍ヘルニアがあっても、何も問題なく生活している動物は多い。しかし、ヘルニア嚢内に腸や膀胱などが入り込み、戻らなくなる(嵌頓する)と一大事である。右の写真は幼いころから大きな鼠径ヘルニアが存在していたわんちゃん(13才)が、尿が出ないとのことで来院されたときのレントゲンです。腸、子宮、膀胱が嵌頓して尿閉をおこしていたので、緊急手術で整復しました。

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最終更新日

2018年10月9