犬の避妊手術(雌:卵巣子宮摘出術)につきまして

 避妊手術をする主なメリットとしては、いくつかの病気の予防ができる、発情出血がなくなる、望まない妊娠が避けられることです。主なデメリットとしては、太りやすくなることだと感じます。以下に手術の概要を記述しましたので、ご覧ください。また、飼主様から「手術するなら、いつがよいのか?」とのご質問をよくお受けします。これについても下に記載いたしましたので、ご参照ください。

 

手術内容につきまして

左写真は、ラブラドール・レトリバー(体重26kg)の避妊手術10日目の写真です。この後、抜糸しました。手術の傷は、およそ5cmです。数か月すると傷はわかりにくくなります。

  • 予約が必要です
  • お食事は、手術前日の20時までにお済ませください
  • お水は、手術当日午前8時まで結構です
  • 手術日当日午前9時30分~午後11時までにお越しください。お仕事等で早くお預けされたい場合はご相談ください(例:午前7時のお預け等)
  • 退院は、手術当日午後6時ごろになります。診察時間にお越しください。一泊入院することもできます。
  • 退院後、約6日間は抗生物質と消炎鎮痛剤などの服用が必要です。
  • 抜糸(表面の糸を取ること)は、手術の約2週間後です。
  • 体に残す糸(表面の糸以外)は、すべて吸収糸を使用します。術後数か月ですべて消えてしまいますので、ミニチュア・ダックスなどに多い異物肉芽腫など縫合糸反応性炎になる可能性は極めて少ないとお考えください。また、皮膚下の糸は、溶けるまでは多少凸凹しますが、半年後に触れることはほぼありません。

 

避妊手術の好適時期について

 好適時期は、犬種や個体差がありますが、生後6ヶ月目をひとつの目安とされるのがよいでしょう。

 乳腺腫瘍の発生を抑制することを目的にするならば、初回発情の前か、2回目の発情の前に行うのが理想です。犬種によりことなりますが、初回の発情(発情出血:ヒート)は、およそ7ヶ月令から1才令にみられ、以後6-7ヶ月毎に繰り返します。初回発情前に避妊手術をすると、乳腺腫瘍の発生率(文献によって異なりますが)は0.05%に抑えられます。2回目の発情前でも、8%に抑えられます。避妊しないわんちゃんは、少なくともその25%(4匹に1匹)に乳腺腫瘍が(だいたい10才頃から)発生します。

 ただし、発情出血後1~2ヶ月で乳腺が発達している(お乳が張っている時期)には、卵巣もしくは子宮の異常がない限り避妊手術はされない方が良いと思います。その時期に避妊手術するとワンちゃんの体が"出産した"と誤認して、偽妊娠兆候(いつまでもおっぱいが出る)が持続する場合があります。

 あと、気にしてほしいのが乳歯(特に犬歯)の遺残です。永久歯が生えているのに乳歯が残ってしまうことです。犬歯の乳歯が残っていると、将来必ずと言っていいほど永久歯との間に歯石が付着して問題になります。犬歯の永久歯は、だいたい6-7ヶ月に生えてきますが、小型犬で1才近くにならないと生えない場合もあります。当院では、犬の去勢(雄)および避妊(雌)手術の際には同時に遺残している乳歯を抜去することをお勧めしております。写真はトイ・プードルから抜去した乳歯(犬歯と前歯)です。乳歯は写真のように、出ている部分の倍ぐらいの根っこがあるので、一般の方が遺残した乳歯を抜くのは不可能です(無理をすると途中で折れてしまいます)。なお、去勢および避妊手術費用以外には、追加料金は原則いただいておりませんが、乳歯抜歯のみをご希望の場合は、諸費用が必要です。

SFTS感染症にご注意!

 宇部市内と山陽小野田市内でSFTSに感染した猫が確認されています。SFTSはマダニから直接感染するだけではなく、SFTSを発症した猫から人が感染発症することがあります。猫は屋内飼育されることをお勧めします。

最終更新日

2024年10月3