犬のワクチン

 

1.ワクチンの接種時期について
  • 初回のワクチンは、生後6週令~2ヶ月令で接種します(飼育環境により異なります)。
  • その後、生後3ヶ月令を経過するまで、1ヶ月毎に追加接種します(つまり初年度は合計2~3回接種します)。
  • 初年度最後のワクチンの1年後に再度接種します。
  • 何種のワクチンを接種するかということですが、山口県はレプトスピラ感染症が認められる地域ですので、7~10種のワクチンを当院を含め推奨する病院が多いと思われます。当院では現在バンガードプラス5/CV-L4(10種ワクチン)を第1選択としてお示ししています。レプトスピラに対する免疫は毎年接種しなければ維持できないため、さらなる追加接種は従来通り10種ワクチンを1年間隔で行うか、10種ワクチンは3年間隔で行い中2年は1年間隔で2回レプトスピラのみのワクチン(バンガードL4)を追加接種しています
  • 一方、6種以下のワクチンは、レプトスピラ感染リスクが低い犬(コアワクチン成分対象)の飼主様が選択されることがあります。6種以下のワクチンを選択された方は、さらに3年間隔で追加接種することが現在推奨されています。含まれるコアワクチンが3年以上免疫を維持するためです。WSAVAのガイドラインではコアワクチンは、「初年度接種が完了 し、6ヵ月または12ヵ月齢で追加接種(ブースタ ー)を終えたら、3年毎よりも短い間隔で接種すべ きではない」と記載されています。また、以前までワクチンの使用説明書(添付文書)に毎年接種を指示する記載がありましたが、現在ではありません。コアワクチンの評価を抗体検出(ただし重要な中和抗体は一般検査では測定できません)で行うという考え方もありますが、WSAVAのガイドラインにおいても、追加接種を毎年行うための指標とはしていません(初年度の追加接種のみ参照するようには記載されています)。ガイドラインにおいては、抗体が上昇しなくても細胞性免疫(現状では測定できませんが、生ワクチンなので誘導されると考えられています)の効果を期待して、3年毎の接種を推奨しています。抗体が上昇しない犬はノーリスポンダーと呼びますが、人のワクチンでもそうですが、毎年接種しても3年毎に接種してもある一定割合は存在しているのも事実です。よって、6種以下のワクチンを毎年追加接種することの獣医学的根拠は今では乏しいと思われます。しかしながら、現状の日本国内における犬を取り巻く環境ではコンセンサスが得られているとは言えず、利用に際し1年毎の接種を義務付けているペットホテルやドッグラン等の施設も多いため、社会的理由を含めて、飼い主様と相談して6種以下のワクチンは1~3年毎に接種しています。
  • 上述したのは、あくまで当院での標準的なワクチンスケジュールですが、どのリスクやメリットを重視するかによってもそれは変わっていきます。最終的には飼主さんとお話しして決めています。

 

 

2.ワクチンの種類について

 犬10種ワクチン

 山口県ではレプトスピラ症の発生が認めていますので、レプトスピラ抗原を含んだワクチンの接種が一般的です。当院では、有効性安全性に考慮して、バンガードプラス5/CV-L4(Zoetis)を使用しています。

予防対象犬ジステンパー、犬伝染性肝炎犬アデノウイルス感染症、犬パラインフルエンザ、犬パルボウイルス感染症、犬コロナウイルス感染症、レプトスピラ症(4型) 

 

 

 

犬6種ワクチン

 ウイルス病に対する予防ワクチンで、当院では、生後6週令~2ヶ月令の初回接種のわんちゃんや、外にあまり出ないわんちゃんに主に使用しています。バンガードプラス5/CV(Zoetis)を使用しています。

予防対象犬ジステンパー、犬伝染性肝炎犬アデノウイルス感染症、犬パラインフルエンザ、犬パルボウイルス感染症、犬コロナウイルス感染症

 

 

 

犬レプトスピラワクチン 

 当院では、レプトスピラ症に対する追加ワクチンとして利用しています。犬10種ワクチンを3年毎に接種する場合、中2年の追加ワクチンとして利用する場合がほとんどです。バンガードプラスL4(Zoetis)を使用しています。

予防対象レプトスピラ症(4型)

 

 

 

犬2種ワクチン 

 子犬や免疫が低下したわんちゃんに感染しやすく、致死的なウイルス病であるパルボウイルスとジステンパーウイルスに対するワクチンです。ペットホテルやドックランをご利用の場合、5 種以上のワクチン接種を求められる場合がありますので、ご注意ください。当院では、ノビバックPUPPY-DP(インターベット)を使用しています。

予防対象犬ジステンパー犬パルボウイルス感染症

SFTS感染症にご注意!

 宇部市内と山陽小野田市内でSFTSに感染した猫が確認されています。SFTSはマダニから直接感染するだけではなく、SFTSを発症した猫から人が感染発症することがあります。猫は屋内飼育されることをお勧めします。

最終更新日

2024年4月17